【音あり】サイレントギター(SLG200S)レビュー いいところ・よくないところ

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コードが押さえられるようになったり、前まで弾けなかった曲が少しずつ弾けるようになってくると、「もっと練習してレベルを上げたい!」という気持ちになりますよね。
でも練習する時間帯によっては、賃貸住宅のお隣さんや、同居している家族に遠慮しながら弾く人もいるかと思います。



でも、遠慮しながらの練習では、強弱の表現がとても難しいです。
特にアコギの演奏では、強弱の付け方で曲の印象が大きく変わりますよね。

そんなときに一度は検討された方もおられるであろうサイレントギター。
購入して3年間使用した僕が、サイレントギターのいいところ・よくないところをそれぞれ紹介しますので、検討中の方の判断材料となればうれしいです。

結論からいうと、なくても困らないけど、あったら何かと便利だなって製品です。


◎いいところ

①夜中でも練習できる

これは誰もが想像できることですよね!

サイレントギターなら、よっぽどの住宅環境でないかぎり24時間演奏することができます。
ここでいう「よっぽどの住宅環境」とは、たとえば隣の部屋の人の話し声やテレビの音が聞こえてくるようなものをさします。

ただし、「サイレント」とはいえ決して無音ではありません。
とくにストロークの時の音量はエレキギターと同等か、それ以上のような気さえします。

サイレントギター、ストラト、アコギの3本を同じ条件で録音し、比べてみました。

条件
・マイクからの距離は20cm
・マイクは12フレットあたりを狙う
・アルペジオとストローク

サイレントギターの生音↓

エレキギター(ストラト)の生音↓

参考までにアコギの音も録ってみたところ、↑と同じ入力レベルだとピークに達してバチバチに音割れしたのでだいぶレベルを下げて録っています。
なので、実際はこれよりもだいぶ大きく聞こえると思ってください。
アコギの生音↓

3つの音源とも、EQやコンプなどのエフェクトは何も入れず、マイクから直接入った音です。
いかがでしょうか?

「アコギに比べたら小さいけど、それならエレキギターで練習すればいいのでは?

と思う人もいるかもしれません。僕も初めはそう思いました。


でも、アコギの練習をするのであれば、サイレントギターのほうが結果よかったです。
その理由は2つあります。

理由の1つ目は、アコギとエレキではネックの太さや握り心地が違うから。
同じ6弦の楽器とはいえ、アコギのほうがネックが太いです。
なので、アコギの曲をエレキで弾く(もしくはエレキの曲をアコギで弾く)ことは、根本的な意味で練習になっていないと言えます。

バスケでドリブルを練習したいとき、サッカーボールでは代用できません。
あの大きなサイズやザラザラした感触を手のひらで感じながら練習してこそ意味があります。
同様に、バスケットボールを蹴りながらサッカーのドリブル練習をするのも、ボールタッチの感覚が違うので実戦に向けた練習とは言えませんよね。
このように、今練習している形態に合わせることは重要です。

アコギ練習にエレキでは代用できない理由の2つ目は、テンションが違うから。
テンションとは、かんたんにいうと「弦を張る強さ(=張力)」のこと。
一般的に、エレキはアコギよりもテンションが弱いです。
試しにチョーキングをしてみると、エレキのほうがよりスムーズに、より少ない力でできるはずです。

特にアコギのソロギターなど、指弾きでアルペジオを練習する時には、右手でアコギ特有の強いテンション感を意識しながら弾くことが大切です。
なぜなら、ソロギターの場合は6弦や5弦でベース音を弾き、その他の弦でメロディーを弾くことが多いですが、ベース音は気持ち弱め、メロディーははっきりと弾くなど微調整が必要になるからです。

このような理由から、エレキはアコギの代用としては向かないといえます。

②ライン接続の音がまあまあいい

サイレントギターの購入の決め手になったと言ってもいいのが、シールドを繋いでスピーカーやヘッドホンで聴いたときの音でした。

サイレントギター(ライン)↓

サイレントギターは、生音は味気ないですが、ライン接続ではこのようにある程度本物のアコギに近い音を出すことができます。

また、トレブルやベースといった簡易的なEQ、リバーブやコーラスなどのエフェクトのつまみも本体に内蔵しているので、好みの音を手元で気軽につくれるのもポイントです。



↓では、リバーブを強めに設定してソロギターを弾いてみました。(1発録りなのでミスタッチはお許しを…)

夜中に練習するには十分なサウンドですよね!

ちなみに、オーディオインターフェイスに繋いで、夜中にソロギターのライブ配信をするなんてこともできますよ!
バンドやDTMをされている方ならデモ音源の制作でも使えると思います。
いちいちマイクを用意してギターに向けて…ということなく、気軽にアコギの音をレコーディングできるのはちょっとした利点です。
エアコンや外の騒音を気にする必要がないのもいいですね!

③薄いから邪魔にならない

アコギはボディが空洞になっていて、弦の振動を共鳴させて音を増幅させるつくりになっています。
サイレントギターではそのようなものは必要ない、というよりむしろ排除しているので、とても薄い形状になっています。
その薄さから、ソファと壁の隙間など、どこでも置けます。
僕は寝室のクローゼットに洋服といっしょに引っ掛けて、夜中に弾きたくなったときに取り出しています。

△よくないところ

ここまでいいことばかり書いてきましたが、ここからはよくないところも遠慮なく書いていきます。

①ブリッジがとがっていて痛い

僕は試奏することなくネットで購入したのですが、実際に弾いてみるとブリッジの角がとがっていて、右手にぐさぐさ刺さってとにかく痛かったです。(赤い◯のところです)

この点に関しては、やすりで削ることで解決しました。
ただ、SNSやブログ記事などを検索してみても同じような人は見当たらなかったので、自分の弾き方に問題があるのかもしれません。

②アコギよりも弦のテンションが強い

さっき、「テンションがアコギに近いからいい!」と言っていたくせに矛盾しているようですが…
出荷時のままだとテンションが強すぎて弾きにくいため、調整が必要な個体がありそうです。
自分でできない人は、近くの楽器店で調整してもらうことになりますが、その分の料金は当然かかります。
ということで、ネットで買うほうが価格やポイントなどで有利なこともありますが、心配な人は実際に店舗で試奏し、調整してもらうことを前提に購入するほうが結果的に安く済むと思います。

また、細いゲージの弦に変えると弾きやすくなるかもしれないので今度試してみます。

③価格がちょっと高い!

冒頭でも言ったように、「なくてもいいけど、あったら何かと便利」…というにしては価格が高いように思います。
コロナにより自宅での時間が長くなった当時は相当な数が売れて「在庫なし状態」が続いていたほどの人気でしたが、正直7万円近く払う価値があるかというと僕はそうは思いません。

まとめ

今回はサイレントギターのいいところ・よくないところを紹介しました。
あれこれよくないことも言いましたが、買いなのかどうかでいうと、個人的には買いです。

ただ、当然ながら全ギタリストにとってマストアイテムかというと決してそうではありません。

ではどんなギタリストが買ってよかったと思えるか?

「いつでも遠慮なくアコギを弾きたい」と思う人

これに尽きると思います。

このためだけに約7万円を出す必要があるのか?
これを高いとか安いとか値段相応ととるのかは人それぞれです。
僕は決して高すぎるとは思わなかったけれど、値段相応かと言われると「もう少し安くしてもいいんじゃない?」というのが本音です。

でも、日本人としてヤマハの企業努力はとても尊敬するし、それを少しでも支えたいということ、
それと、こういうおもしろい発想のギターは自分の手元においておきたい、という思いから最終的に購入を決断しました。

もし、サイレントギターの機能性に惹かれているけど値段だけで迷ってるのであれば、いっちゃっても全然いいのではと思います。
夜中に周りを気にせずアコギが弾けるというのは、「数百万円もする防音室を手に入れたようなもの」とも言えます。
楽器にしてもスポーツにしても、技術は練習時間に比例します。
演奏能力向上にむけた自己投資だと思えば、7万円なんて安いという考え方もできますよね。

過去に高額の買い物についての記事を書いているので、そちらもよかったらご覧ください!

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