【比較レビュー】IK MultimediaのヘッドホンアンプTONEX Plug! Fender Mustang Micro plus・BOSS Katana:GOとの違い

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ここ数年、各社からリリースされているヘッドホンアンプ。

FenderのMustang Micro Plus、BOSSのKatana:GOといった製品が登場し、「自宅練習の音」は飛躍的に進化しました。

そんな中、イタリアのIK MultimediaからTONEX Plugが発売されました。

FenderやBOSSと比べても強気な価格設定ですが、調べてみるとこの価格差には明確な理由がありそうです。

まずは結論から

TONEX Plugがおすすめの人
「作られた音」ではなく、「実機のアンプそのものの挙動・空気感」で練習したい人
・ToneNETを使って、世界中のレアなアンプやプロのサウンドを無限に試したい人

他モデル(FenderやBOSSなど)がおすすめの人
・本体のディスプレイを見て、スマホなしで手軽に音を変えたい人(→ Fender Mustang Micro Plus)
・YouTubeと連動したり、空間オーディオで「弾いていて楽しい」体験を重視する人(→ BOSS Katana:GO)

この結論をもとに、なぜTONEX Plugが「練習用」の枠を超えているのか、他社製品と何が違うのかを深堀っていきます!


「TONEX Plug」はキャプチャーした音が使われている!

まずは、この製品の正体について少しだけ触れておきましょう。

TONEX Plugは、IK Multimediaが誇る「AI Machine Modeling」技術を搭載した、超小型のアンプ&エフェクト・システムです。

これまでのヘッドホンアンプは基本的に「モデリング技術」を使っていました。
これは、回路図や音の波形を計算して「Fenderっぽい音」「Marshallっぽい音」を作り出す技術です。

それに対してTONEXはAIを使います。
実機のアンプに特殊な信号を流し、そのアンプがどう反応するか(歪み方、コンプレッション感、倍音の出方など)をAIに学習させ、「その個体の音そのもの」をキャプチャーします。

つまり、

  • 従来のモデリング = 「写実的な似顔絵」
  • TONEXのキャプチャー = 「カメラで撮った写真」

このくらいの違いがあります。

プロの現場でも使われているTONEXシリーズのサウンドエンジンがそのままこの小さなプラグに入っている。
これがTONEX Plug最大の特徴です。


ライバル機種との徹底比較(Mustang Micro Plus / Katana:GO)

ここからは他社製品との比較を。
並べてみるとそれぞれの目指す方向性が違うことに気づきます。

ヘッドホンアンプ比較表

IK Multimedia TONEX PlugFender Mustang Micro PlusBOSS Katana:GO
サウンドエンジンAI Machine Modeling
(実機キャプチャー)
Mustang ModelingKatana Engine
音の傾向突出したリアルさ・生々しさ
実機寄りのニュアンス(ピッキングへの追従・細かいダイナミクス)
整えられた音像で、帯域バランスがいい。Fenderクリーンは絶品!音像が太く密度高め。コンプ感と芯の強さが一定で、安定感のある出音
本体の操作性△ (LEDのみ)
詳細設定はアプリ必須
◎ (ディスプレイ搭載)
本体だけで完結しやすい
◯ (ボタン多め)
直感的に操作可能
拡張性ToneNETでキャプチャーされたアンプモデルを追加可能。事実上無制限。オンラインでプリセットを追加・編集可能だが、アンプやエフェクトの種類は固定同左
総評「音そのものを集めていく」再現特化型「良い音を迷わず使える」完成音拡張型弾き方や音量に左右されない音像安定型

Fender Mustang Micro Plusの強み

Fenderの強みは、なんと言っても本体のOLEDディスプレイ。
スマホを取り出さなくても今どのプリセットを使っているかが文字でわかります。
地味なことかもしれませんが、こういったことが日々の「ちょっと練習しよう」というハードルを劇的に下げてくれます。
音も「誰が弾いても良い音」にチューニングされており、扱いやすさは際立っています。

BOSS Katana:GOの強み

BOSSは「エンタメ性」と「機能」に注力しています。
YouTube動画に合わせてパッチを自動で切り替える機能や、ヘッドホンなのに音が前から聞こえる「立体音響」など、練習を飽きさせない工夫が満載。
エフェクトの同時使用数も多く、飛び道具的なサウンドには強い。

TONEX Plugの優位性はリアルさの追求

では、TONEX Plugはどこで勝負しているのか。
それは「タッチレスポンス」と「ダイナミックレンジ」です。

ボリュームノブを絞った時の歪みの落ち方、強く弾いた時の「グシャッ」というコンプレッション感。
これまでのヘッドホンアンプにあった「フィルターを通したようなデジタル臭さ」が極限まで取り除かれています。

「真空管アンプを部屋で鳴らしているあの感覚」
この一点においては、TONEX Plugがずば抜けています。


TONEX Plugの強気な価格設定→ToneNETがあるから

ライバル機よりも高い価格設定。
練習用にそこまでは…と躊躇する人もいるかもしれませんが、僕はこの価格差には「ToneNET」という巨大な資産が含まれているからだと考えています。

ToneNETは「無限の機材庫」

TONEX Plugを買うということは単なるハードを買うだけでなく、「ToneNET」へのアクセス権も手に入れるということです。

ToneNETには、世界中のユーザーやプロがキャプチャーした数万種類以上のアンプデータ(Tone Model)がアップロードされています。

  • 数百万円のダンブルアンプ
  • 1960年代のビンテージVOX AC30
  • 有名なギタリストのツアー機材の音
    など

これらが全て、検索してダウンロードするだけで自分のものになります。
しかも無料!

FenderやBOSSもプリセット追加は可能ですが、TONEXの「実機をそのままコピーしたデータの量と質」は桁違いです。
実質、世界中のアンプを所有するのと同じと言っても過言ではありません。


アプリ「TONEX Editor / App」の活用

TONEX Plugを使っていくためにはアプリとの連携が不可欠。

スマホで直感的にサウンドメイク

Fenderに比べると本体側の操作性はいまいちでも、アプリでの操作は非常に快適です。

実機のようなノブが画面に表示され、Bluetoothで遅延なく音色を調整できます。
お気に入りのTone Modelを探すのもアプリ上ならサクサク行えます。

練習に便利な機能もしっかり搭載

Bluetoothオーディオ再生にも対応しています。

好きな曲やバッキングトラックを流しながら、世界中のリアルアンプのサウンドを演奏できます。

TONEXの「埋もれないリアルな存在感」がオケに馴染みつつしっかり抜けてくる音は、練習のモチベーション向上にも繋がりますね!


おわりに

TONEX Plugは決して「便利機能てんこ盛り」のガジェットではありません。
むしろ「純粋に、良い音でギターを弾くこと」に特化した、職人気質な機材です。

  • 「ピッキングのニュアンス」や「アンプの反応」を何よりも大事にしたい
  • 世界中の実機のアンプサウンドをいつでもどこでも気軽に楽しみたい

そういう人ならTONEX Plugを選ぶ価値は十分にありそう。

良い音で練習するとピッキングも丁寧になるし、ボリュームコントロールも上手くなります。
何よりギターを弾いている時間そのものが最高に楽しくなる。

「たかが練習、されど練習」
長い時間を共にする練習機材にこそ本物の音を取り入れてみるのも選択肢としてアリかもしれません。

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