Neural DSPのNano Cortexが、ついにNanOS 2.0へとアップデートされました。
今回のアップデートで、単なる機能追加にとどまらず、Nano Cortexそのものの使用感を改善する内容となっています。
この記事では、Nano Cortexユーザーや導入を検討している方に向けて、NanOS 2.0で何が変わったのか、どこが進化したのかを整理してお届けします。
アップデートの全体像:NanOS 2.0で何が変わった?

NanOS 2.0の最大のポイントは、以下の5つに集約できます。
- エフェクトとユーティリティの大幅追加(+47種類)
- シグナルチェーンのカスタマイズ性向上
- Input Gateの標準搭載
- IRローダーのグローバルバイパス機能
- ベース対応の強化
エフェクトの大量追加:音作りの幅が一気に広がった!
NanOS 2.0では新しいエフェクトが追加され、合計50種類以上のエフェクトが使用可能になりました。
主な追加エフェクト
カテゴリ | エフェクト |
ドライブ | 9種類の歪み系ペダル(例:OD、Fuzzなど) |
モジュレーション | コーラス、フランジャーなど |
ディレイ | デジタル、アナログなど |
リバーブ | スプリング、ホールなど |
EQ | グラフィックEQ、パラメトリックEQ |
コンプレッサー | ベース・ギター兼用も含む |
ワウ/フィルター | オートワウ、エンベロープフィルターなど |
ユーティリティ | スプリッター、ミキサーなど |
特に、初期バージョンではほぼ存在しなかったドライブペダルが9種類も追加されたのは大きなアップデートですね!
シグナルチェーンのカスタマイズ:自由度はどこまで上がった?

Nano Cortexの核であるNeural Capture(アンプなどのキャプチャー)の前後に配置できるエフェクトスロットが増え、柔軟にセッティング可能になりました。
アップデート前後の違い
旧バージョン | NanOS 2.0 | |
シグナルチェーン構造 | 固定式(7スロット) | 構造は固定だが一部自由度アップ |
プリエフェクトスロット | 2スロット、種類制限あり | 2スロット、選べるエフェクトが大幅増 |
ポストエフェクトスロット | 3スロット、種類制限あり | 3スロット、入れ替え可能な種類が増加 |
エフェクト順序 | 完全固定 | 一部固定(特にポストエフェクト) |
カスタマイズの具体例
(例1)プリスロットにオーバードライブ+ディストーションを並べてゲインスタック(=歪みペダルの重ねがけ)

(例2)ポストスロットにEQ→Comp→Reverbと配置して空間演出

とはいえ、完全に自由な配置はできず、特にポストエフェクトでは「モジュレーション→ディレイ→リバーブ」の順序が固定されています。
これはQuad Cortexのような完全自由設計とは違い、あくまで「限定的な中でのカスタマイズ性」というスタンスです。
Input Gate標準搭載:スロットを無駄にしないノイズ対策

Neural DSPのノイズゲートは、とても自然にノイズが除去できることで定評。
今回のアップデートで、シグナルチェーンの最初にノイズ除去用の「Input Gate」が常時組み込まれるようになりました。
これで、エフェクトスロットを1つも消費せず、常にノイズ除去が可能になります。
IRローダーのグローバルバイパス:実機キャビ派にうれしい改良

IR(Impulse Response)ローダーとは、スピーカーキャビネットの音響特性をシミュレーションするための機能のこと。
ヘッドホンでの練習やDAWでの録音などではいいものの、実機のキャビネットを使うときに、うっかりIRをつけっぱなしにしてしまって不自然な音になることってありそうですよね。
今回のアップデートで、すべてのプリセットに対して一括でIRローダーをバイパス(無効化)できるようになりました。
これにより、実機のキャビネットやパワーアンプを使用する場合の設定が簡単に!
プリセットごとに個別設定をする手間が省けるのは、ばたばたする現場でのセッティングにも大きく影響しますね。
ベーシストへの本格対応
NanOS 2.0では、ベース用Neural Captureの利用が可能になり、さらにベース特化のエフェクトも追加されました。
- ベース用ドライブ×2種
- ベース用ワウ×2種
- ベースコンプ、EQの精度向上
ここは注意!制限事項もしっかり理解しておこう

アップデートで自由度は上がったものの、いくつかの制限は残っています。
主な制限
- シグナルチェーンの構造そのものは固定
- ポストエフェクトの順番(Mod→Delay→Reverb)は変えられない
- Neural Captureは1スロットのみ。アンプと歪みペダルのCaptureを同時使用は困難
- 完全な自由配置(Quad Cortex的な)は未対応
そのため、「全てのエフェクトを好きな順に並べて、完全に自由なシグナルチェーンを構築したい」という人には、ちょっと物足りないかもしれません。
むしろそういう人は別のモデルか、Quad Cortexを検討していると思います。
とはいえ、複雑なルーティングを考えていない人なら、ライブや宅録で使うには十分すぎる柔軟性とは言えます。
まとめ:Nano Cortexは“結構使える”マルチになった

NanOS 2.0の登場によって、Nano Cortexは単なる小型マルチではなく、
- 複数の歪みを組み合わせたゲインスタック
- プリ/ポストEQやコンプの活用
- ライブやレコーディング現場での迅速なIRバイパス
- ベースにも完全対応したユニバーサルな音作り
といった、実践的な使い方に応えるツールへと進化しました。
この大型アップデートにより、もともと持っていた方はもちろん、これから導入を検討している方にとっても、Nano Cortexは非常にコスパの高い選択肢と言えます。
おわりに
Nano Cortexは、Quad Cortexと(価格面でも性能面でも)直接比較できるような機種ではありませんが、Neural DSPからの小型モデルということで、発売当初は大きな話題を集めました。
ただ、柔軟性の低さから敬遠していた人もいたはずです。
そんなNano Cortexが、今回のNanOS 2.0アップデートで大きく進化を遂げました。
もちろん、すべてを自由に設定できるわけではなく、Quad Cortexのようなハイエンド機と比べればまだ制限はあります。
それでも、多くのユーザーのニーズにしっかり応えられる機能性が備わったのは間違いありません!
これからのアップデートにも期待です!
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