2021年発売のFender Mustang Microの後継機として、2024年9月に発売されたMustang Micro Plusは、アンプモデルやエフェクトの数が増え、アプリ対応など大きな進化を遂げました。
自宅練習で使うためにどちらがいいのか気になっている人も多いと思います。
まずは結論から。
●新モデルがおすすめの人
・ディスプレイ搭載、アプリでの細かな音作り、プリセットの保存や他のユーザーとの共有、チューナー搭載に魅力を感じる人
・気軽にPCやタブレットに繋いでレコーディングしたい人
機能面で旧モデルより格段にアップグレードしているため、価格差の6,000円は十分に妥当な設定だといえます。
●旧モデルがおすすめの人
・細かくパラメーターをいじらなくても手軽にいい感じの音に調整してくれるほうがいい人
・とにかく低価格かつ高品質なヘッドホンアンプがほしい人
この結論をもとに、この記事では2製品を徹底的に比較していきます!
どんな製品?
Fender Mustang MicroとMustang Micro Plusは、ギターに直接挿し、ヘッドホンやイヤホンをつないで演奏を楽しめるポータブルヘッドフォンアンプです。
多数のアンプモデルとエフェクトモデルを搭載し、Bluetoothで音楽をストリーミングしながら一緒に演奏することもできます。
デザイン
旧モデル↓
Plus↓
両製品の形状は基本的に同じでほとんど変わりません。
しかし、見た目の明らかな違いはディスプレイの搭載です。
その他機能性の向上も含めて詳しく見ていきましょう!
2製品の機能を比べてみた
それぞれの違いを一覧にまとめました。
Mustang Micro | Mustang Micro Plus | |
価格 | 約16,000円 | 約22,000円 |
アンプモデル数 | 12 | 25 |
エフェクトモデル数 | 12 | 25 |
Bluetooth接続 | ◯ | ◯ |
USB録音 | ◯ | ◯(双方向) |
ディスプレイ | ✕ | ◯ |
プリセット保存 | ✕ | ◯(100個) |
アプリ連携 | ✕ | ◯ |
チューナー機能 | ✕ | ◯ |
バッテリー駆動時間 | 最大6時間 | 最大6時間 |
Plusになってアンプモデル数・エフェクトモデル数ともに2倍以上に増え、できることも格段に増えました。
特徴的な機能
Bluetooth接続で好きな音楽といっしょに演奏
スマートフォンとBluetoothで接続することで、YouTubeやSpotifyなどに合わせて演奏することができます。
本体前面のつまみがマスターボリュームで、「スマートフォンの音楽」と「ギターの音」の音量を全体的に調整します。
たとえば音楽が大きくてギターが聞こえにくい時は、スマホ側で音楽の音量を下げる。
音楽の音量はちょうどいいけれどギターの音量が大きいときは、本体でアンプのレベルを下げるといった感じです。
ギター6:音楽4くらいに調整したあとにマスターボリュームで気持ちよく演奏できるレベルに調整するといいと思います。
これは前モデルでも同様の機能ですね。
【Plusのみ】ディスプレイ搭載
ディスプレイが追加されたことで、現在どの設定になっているかが一目で分かるようになりました。
これにより、設定の切り替えがより正確に行えるようになっています。
旧モデルは下の画像にもあるようにLEDの色だけで表していたので、なかなか慣れるまで時間がかかりそうでした。
ディスプレイ搭載によってさらに使いやすく進化しました。
【Plusのみ】Fender Toneアプリとの連携
アプリを使用することでオリジナルのプリセットを作成できるようになりました。
さらに、自分で設定したプリセット名が本体のディスプレイにも表示されます。
(アプリについてはこのあと詳しく紹介します)
【Plusのみ】双方向USBレコーディング機能
MacやPC、タブレットなどと接続をしてDAWに直接ギターをレコーディングすることができます。
旧モデルでもこれは可能でしたが、大きな違いは双方向での音のやり取りができるということ。
たとえばiPadのGarageBandでレコーディングをするとします。
旧モデルでは、ギターの音のレコーディング(ギター→iPad)はできましたが、録音後の音を聴く(ギター←iPad)など、iPadからの音を聞くことはできませんでした。
一方の新モデルでは、自分のギターの音もiPadの音も両方聞こえるためストレスなくレコーディングができます。
・帰省中の実家で
・出張中のホテルで
・バンドメンバーとの簡単な作曲で
ギターとiPadさえあればいつでもどこでも最高な音で録音できるのは便利だし楽しいですよね。
なんならiPhoneに繋いでGarageBandを開けばiPadすら不要!
オーディオインターフェイスを持っていない人もこれさえあれば簡単なレコーディングができますし、「弾いてみた動画」も高音質で作成することができます。
旧モデル | 新モデル | |
ギター音の録音 | ◯ | ◯ |
PCやタブレットからの音を聞く | ✗ | ◯ |
ギター音を録音しながらPCなどの音を聞く | ✗ | ◯ |
【Plusのみ】チューナー機能
旧モデルにはチューナー機能はないので別で用意する必要がありましたが、今回チューナーが内蔵されました。
外出先で使う時にも荷物が少なくすむのでいいですね!
アプリ「Fender Tone App」のいいところ
アプリ「Fender Tone App」の活用についてもう少し深堀りしてみます。
パラメーターのコントロールが可能
↑の動画でもあるように、アプリ上で実機を操作するように細かな音質調整が可能です。
iPhoneのような小さな画面でつまみをいじるのが苦手な人は、つまみを1回タップすると大きなメーターが出てきてそこで同じように調節することができますのでご安心を!
また直感的な操作で手軽に音作りができるので、楽しみながら自分の理想のサウンドを作ることができます。
旧モデルでは、それぞれのパラメーターを任意にいじることはできずにざっくり音のキャラクターを変えられる程度のカスタマイズ性だったので、これらを自由に触れるのはうれしい進化です。
エフェクトブロックを移動できる
エフェクトの順序を自由に変更することができるので、さらに幅広く音作りができるようになりました。
世界中の人とプリセットを共有できる
作ったプリセットをユーザーコミュニティーで他のユーザーに共有したり、逆に他のユーザーのプリセットをダウンロードして使用することができます。
「AUDITION」を押せば、そのプリセットの音が一時的に選択されてお試し状態になり、いまいちなら次のプリセットへ、いいのがあれば「DOWNLOAD」を押すといった感じです。
音作りが苦手な人も世界中のプリセットをダウンロードして、エフェクトやアンプの特徴を理解したり新しい発見をしたりすることができます。
アンプモデルとエフェクトモデル一覧
Plusのアンプ・エフェクトモデルを一覧にまとめました。
アンプモデル | エフェクトモデル |
’57 CHAMP ’65 DELUXE ’80S BRITISH BB15 HIGH GAIN 60S THRIFT ’57 DELUXE ’65 TWIN ’90S AMERICAN SUPER-SONIC EXCELSIOR ’57 TWIN ’60S BRITISH BRITISH COLOUR FBE-100 STUDIO PREAMP ’59 BASSMAN BRITISH WATTS BB15 LOW GAIN METAL 2000 TUBE PREAMP ’65 PRINCETON ’70S BRITISH BB15 MID GAIN UBER ACOUSTIC SIM | ●ストンプボックス OVERDRIVE GREENBOX MYTHIC DRIVE BLACKBOX FUZZ BIG FUZZ ОСТОВОТ COMPRESSOR SUSTAIN 5-BAND EQ ENVELOPE FILTER ●モジュレーション SINE CHORUS TRIANGLE FLANGER PHASER VIBRATONE SINE TREMOLO HARMONIC TREMOLO ●ディレイ MONO DELAY TAPE DELAY 2290 DELAY REVERSE DELAY ●リバーブ LARGE HALL SMALL ROOM SPRING REVERB MOD.LARGE HALL |
往年のフェンダーを代表するアンプたちだけでなく、他社の特徴的なアンプもたくさん入っています。
またエフェクトも幅広く揃えられており、名前から連想できるものも多いですね!
「OVERDRIVE GREENBOX」
GreenといえばIbanezのチューブスクリーマー!
「MYTHIC DRIVE」
MYTHIC(神話)といえばKLON CENTAUR!
など、イメージをもちながら音作りができますね。
おわりに
今回はFender Mustang MicroとMustang Micro Plusを比較してきました。
Mustang Micro Plusは、旧モデルの機能を引き継ぎつつ、たくさんの新機能を追加しています。
特にディスプレイの搭載とFender Tone Appとの連携は使い勝手を大きく向上させました。
アンプモデルとエフェクトモデルの数も倍以上に増え、より多彩な音作りができるようになりました。
また、チューナーの搭載や双方向レコーディング機能など、実用的な機能も充実しています。
6000円の価格差は、この進化を考えると全然高くなく、特に音作りにこだわりつつストレスのない操作性を求める人にとっては十分に価値があります。
一方で、「音作りにこだわらずとにかく低価格で気軽に楽しみたい」という人にとっては、旧モデルでも十分魅力的な選択肢になるはずです。
最終的には予算や使用目的、そして音作りへのこだわりによって変わってきますね。
もし迷っているのであれば、個人的にはPlusをおすすめします
・チューナーがついていなくて、いちいちチューナーを探さないといけない
・ディスプレイがなく、いちいち小さなボタンで操作しないといけない
・少ない荷物で気軽にレコーディングを楽しめない
これらのことが少しでもストレスに感じるならPlusが絶対おすすめです。
たった6000円の違いで「とにかくお手軽になる」ならその価値は十分にあるはずです。
ただ、どちらを選んでもあのフェンダーの音を簡単に楽しめることに違いはありません。
自分のニーズにぴったりなモデルを選び、ギターの練習や音楽制作をより楽しくしていくのにこの記事が参考になればうれしいです。
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